初心者向け格安ギターとバンドメンバー募集のグローバルサウンド新宿
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社会人音楽サークル
新宿音楽コンテスト
バンドメンバーを募集する バンドのライブチラシ作成 音楽コラム

プロデューサーはバンドのここを見ている

朝九時、起床。コーヒーを飲みながら新聞を読む。十一時に出社。
販促スタッフとミーティング。十二時半、今日初めての食事。
外に出る時間もないので、仕出し弁当を食べつつ、ビデオでスペースシャワーTVの「ニュース&カウントダウン」を見る。
一時、経理スタッフと今年の計画の打合せ。
その後、電話で約十人と話をし、四時、我々への移籍が決まったロックバンドBの企画ミーティング。
六時、他社への移籍を希望している女性ヴォーカリストCについて、マネージャーとミーティング。
七時半、池袋のライブハウスで人気上昇中の新人ロックバンドDのライブを見る。
十時、スタッフミーティングを兼ねて、夕食とアルコール。午前一時、帰宅。
レコードを聴いたり本を読んだりして、三時にベッドイン。
ほぼ毎日、こんなメニューである。
二十年あまり、数々のミュージシャンとこんな生活をくり返してきたが、飽きるどころか、とても刺激的な毎日だ。
次々に現れる新しいミュージシャン、新鮮な音楽。それが、僕たちスタッフに刺激とエネルギーを与えてくれる
。ミュージシャン同士の中でも、お互いに刺激しあい、競いあって、さらに新鮮さが増幅していく。
新しいミュージシャンとの出会いこそが、僕たちにとって、いや、音楽のすべてにおいて、最も重要な出発点だ。
僕たちと、新しいミュージシャンとの出会いには、さまざまなケースがある。
自薦他薦のデモテープ、インディーズ音源、ライブハウス、ミニコミ誌、イベント、巷の噂、各種のオーディション、そして、偶然のストリート。
どんなビッグスターとでも、知り合うきっかけは、何かの偶然でその音を聴くことから第一歩が始まっている。
少なくとも僕が関わってきたアーティストのデビューは、すべてが「音楽からのスタート」だった。
音楽の種類、アーティストの個性によって、活動の場所もその形態もさまざまだから、一つの情報だけに頼ってはいられない。
他人の評価をうのみにするわけにもいかない。一人一人のスタッフが、自分の感性と状況に応じて、相性の合うミュージシャンを探している。
楽しんでいたり、冒険心が見えたり、ポリシーを貫いている等々、
そういったことを感じさせてくれるアーティストキャラクターであるかどうか、
その音楽のエネルギーが伝える何かが、僕たちスタッフの胸を打ち、ヤル気を起こさせる。
ただ、僕たちスタッフもいろんな指向性を持っているし、時々とんでもなく鈍いヤツもいる。
だから、キャリアと楽曲を蓄積することで自信を持ってほしい。
デビューという眼の前のニンジンを食べたいがためにあせり、音楽生命をちぢめたアーティストは数知れない。
僕は断言する。「スタッフとの相性が見つからない限り、プロデビューをするべきではない!」と。
理解しあえるスタッフとアーティストとの出会いは、宝くじのようにきわめて難しいことかもしれない。
だが、僕たちが仕事として接しているのは物体ではなく、あくまで強い意思を持つ人間であり、お互いの相性が作品を生かしていく。
そのために、これからプロをめざすミュージシャンには、勇気と情熱を持って自分をストレートにアピールし、
次世代の新しい音楽シーンを築いてほしいと思う。
そんな、明日のロックヒーローが僕たちの前にいっぱい登場してくれることを、心から望んでいる。
さて、いろいろな情報で耳がタコになり、眼がマヒした僕たちをふるい立たせる決め手、
つまり確信を得られるのは、ライブハウスでのステージだ。生のサウンド。パフォーマンス。MC。
そして、観客の雰囲気。それまでの予備知識が、確信になったり、もしくは、カラカラと音を立てて崩れ去ったり……。
僕のやり方。何らかのきっかけで、気になったアーティストがいたとき、まず、一人でライブを見に行く。
これはいいぞと思ったら、若手のスタッフを連れて二度目のライブへ。
ここで、現場を担当したいというスタッフが登場したら、まちがいなくデビューOK。
僕一人が気に入っても仕事にはならないのだから、何とかしてまわりのスタッフを乗せようとする。
まるで、身内に向けてのプロモーションである。自分でチラシを作り、写真を撮り、おすすめの曲をコピーして配ったり。
僕が感じた魅力をみんなにもわかってほしい。身内を乗せられないアーティストが、世の中で受けるはずがない。
そんなプロセスを経て、制作、宣伝、販促のスタッフが盛り上がったときに、ビッグアーティストへの第一歩が始まる。
また、僕たちは、毎週月曜の午前中に、ディレクターミーティングを開いている。ここには
毎回、十組以上の新人デモテープが持ちこまれ、試聴して意見が交わされる。
楽曲に関する意見が80%。あとはヴォーカル、演奏テクニックについて。
ビデオがあるときはルックスにも話がはずむ。
サウンドやルックスなどはあとから作り変えられるというスタッフとしての自信があるせいか、
ディレクター連中の関心は、なんといってもメロディと詞のセンスに集まる。
特に、サビにかけての盛り上がりがあり、そのあとに泣かせるような大サビが登場するような曲に出会ったときには、ミーティングは大さわぎになる。
このように音楽の中身で盛り上がるときとは逆に、各スタッフの個人的な事情に話がはずむことも多い。
もちろん、音楽の指向性は一人ずつ異なる。
自分の実績に煮つまっている人は、指向を抑えてでも売れることをめざすときもある。
ロックバンドの制作に励んでいた人が突然、アイドルを手がけるなんてこともある。
作詩、作曲、アレンジなどのクレジットに意外な名前が登場するときは、こんな事情やスタッフの感性が動いていると思ってまちがいない。
アイドル不振の中で、突然、SMAPがジャンルを超えて幅広い支持を得たのは、
こんなスタッフとアーティストの相性の成果だといえる。
はやりモノに対する抵抗とあこがれのはざまで、新しい音を作り出そうというエネルギーが生まれ続ける。
これが、POPSの宿命だと思う。