初心者向け格安ギターとバンドメンバー募集のグローバルサウンド新宿
初心者向け格安ギターとバンドメンバー募集のグローバルサウンド新宿
社会人音楽サークル
新宿音楽コンテスト
バンドメンバーを募集する バンドのライブチラシ作成 音楽コラム

ひとつ欠けてもダメーデビューまでの四つのポイント

アーティストとの出会いがどういう形であったにしろ、
最初の出会いからデビューの日までの準備期間中、ことはなかなか順調に進まない。
むしろ、途中で、何らかの理由によって進行がストップすることのほうが、圧倒的に多いと言えるだろう。
レコード会社やマネジメントスタッフと出会うことが、すべてのデビューへの入口であるのはまちがいないが、
途中で出口が見つけられなくなってしまい、入口に逆戻りしてしまうアーティストが多いんだ。
知り合いのスタッフが会社の人事異動で他の部門に変わったり、転職していなくなったり、といった相手の都合によることもあるが、
ほとんどの場合は、そのアーティストへの関心が、スタッフの中でなぜかさめてしまうことが多いためだ。
僕もそんな経験は数限りない。簡単に言えば、初めてテープを聴いたりライブを見たりしたとき、
強烈なインパクトを感じ、一気にデビューを想定しての作業が始まるのだが、
その最初の驚きを乗り越えることができなくなってしまうんだ。
これはすばらしいと思ったアーティストを一人でも多くデビューさせてヒットシングルを作っていくことが、
僕たちスタッフの使命なのだから、本当は、出会った人のすべてをきちんとしたプロとしての形にしていくべきだ。
しかし実際は、数あるアーティストのごく一部だけしか生き残れないのが現実だ。
あるテレビ局の企画で、一年後に始まるドラマのテーマ曲に新人アーティストを起用したい、新鮮な楽曲を使いたい、という話が持ち上がった。
さっそく、オーディションが企画された。
FM局や音楽雑誌とも提携して、全国で募集され、三千組を超える応募が集まった。
ドラマのプロデューサーの意図もあって、テープ審査、地方予選を経たあと、巫示のホールで最終ライブ審査が行われた。
スタッフとして僕も最初から審査員になっていたが、最後に選ばれた十組のうち僕が投票したのは、グランプリを逃したロックバンド「E」であった。
まず、僕たちのスタッフのあいだで検討した。
制作のディレクター、宣伝のプロモーター、販促のマーケティングスタッフの中で、ぜひ仕事として取り組もう、という結論が出た。
Eは、オーディションに応募した曲こそすばらしいものだったが、レパートリーの数もライブ経験もまだまだ不足していたので、
ここから、一年あまりにわたるレコード会社のスタッフとの協同作業が始まった。
しばらくして、楽曲もライブ内容もようやく大きな進歩を見せはじめたころ、
ライブハウスにマネジメントプロダクションを招いて、プレゼンテーションライブを開くことにした。
ロック系のプロダクションが約二十社集まってのライブでは、メンバーも僕たちも異常に緊張したのを覚えている。
無事にライブが終わり、このうちの五社から問い合わせを受けた。
僕は、メンバーを連れて、マネジメントスタッフとのミーティングを続けた。
バンドにとっての里親を探すようなものである。
一社にしぼりこまなければいけないのだが、相手は気に入ってくれているんだから、どの会社にも、失礼な対応はできない。
狭い世界だから、何かのイベントで顔を会わせることもあるだろうし。
数か月あと、ようやくEのマネジメントプロダクションが決まった。
グランプリを取った別のバンドは、すでにデビュー・シングルをヒットさせていた。
Eがデビュー曲を発売したときには、僕が彼らに出会ってから三年の時間が過ぎていた。
この話は、時間はかかったが、うまくデビューにたどりついた一つの成功例である。
しかし、このバンドEがデビューするまでの三年間に起きたできごとのうち、一つでもうまく行かなければ、
おそらくその時点ですべての話が終わっていただろう。

1.アーティストとの出会い。
2.曲作り、リハーサル、ライブ、その内容と成果。
3.マネジメントプロダクションの反応。
4.デビュー曲の決定。

大きく分けて、この四点。そのどれかがうまく行かなければ、デビューまで届かない。
スムーズに決定せず、時間ばかりがかかっていくいらだち。
おだてられたりけなされたりで、よくわからないことの連続。
たくさんの人が現れて、いろんなことを言っては去っていく。
友人のバンドは、実にうまく行っているように見える。
まわりのこの人たちは、本当に信用できるんだろうか。
自分たちは、本当にデビューできるんだろうか。
バンドのメンバーにとって、こんな、不安と期待が行ったり来たりの時期が過ぎていくはずだ。
ハッキリさせておこう。Eのような成功例は、10%にも満たない。
自分たちと同じような状況におかれているバンドが、他にも十組以上は存在していることを忘れないでほしい。
僕たちスタッフの役割は、いいと思ったアーティストをデビューさせることだ、と書いた。
だから、できるだけいい環境を作ったり、いろんな人を紹介もする。
しかし、音楽を作るのは、スタッフではない。あたりまえだが、それはアーティストだ。
そして、それをビジネスとして成立させるためには、一部のスタッフだけの作業ではむずかしい。
僕と、新しいアーティストとの出会いは、男女の関係にも似ている。
すごくわかりやすい例を、誤解を恐れずに言ってみよう。
ある夜、ちょっとアルコールも入って、とてもステキな女と出会った。
話もはずんで、そのままホテルに直行。夢のような一夜が明けて、気がついたら朝。
隣に寝ている女は誰?昨日の盛り上がりは何だったんだろう?
もう一つ。結婚を前提につきあっている女がいた。半年は、本当に楽しい毎日だった。同棲が始まった。
今まではわからなかった彼女の性格が、次々と顔を出してきた。
外でのデートでは実に可愛い女性だったが、家のなかでの女は、気がきかないことが多すぎた。
イライラがつのって、一か月で同棲を解消。別れてしまった。
また、こんな経験はないだろうか?朝、起きぬけに聴いたシンガーソングライターの歌。
さわやかで気持ちがよかったが、夜聴くとかったるくて、とてもつまらなかった。
バーのBGMで気持ちよく聞こえたロックンロールは、CDを買って家で聴いたら、ただの能天気なオールデイズでがっかりだった……。
同じ音楽でも、時間や場所によってその聞こえ方は大きく違ってくる。
一つのバンドのファンはどんどん入れ替わっていくものだ。
何年も応援しつづけてくれるファンなんて、ほんの一握りしかいない。
彼らをコアファンと呼んでいるが、彼らの期待にこたえながら、さらに新しいファンを獲得しているのが、
トップを維持しているアーティストのすばらしいところなんだ。
初めて見たライブの強烈なインパクト。初めて聴いたデモテープの新鮮な説得力。
初めてのミーティングで心を打たれた、純粋な音楽性。
こんな最初の出会いが、時間の経過とともに形を変えてくる。
熱がさめて、クールな判断を迫られるようになったときも、僕たちとその新人アーティストとの信頼関係は続いているだろうか。
最初に出会ったときに感じた将来性を裏づける作品ができているだろうか。
自分の仕事のキャパシティに、無理なく収まるだろうか。
まわりには、多くのスタッフや関係者がいる。さまざまな意見や評価が聞こえてくる。
自分が感じた、このアーティストの魅力を、他のみんなが理解してくれているだろうか。
時間の経過とともに、状況も変わっていく。ファンも欲ばりだ。
より新しい魅力を。より気持ちのいい音を。より熱い感動を。次から次へと差し出される要望にこたえられるだろうか。
僕が、この一年間に、デビューを前提に話し合ったアーティストは十組以上。
その中で、確実に前進しているのは、一組だけである。
僕から身を引いたもの、バンドが解散してしまったもの、他社で契約が決まったもの。
いずれにしても、最初の出会いが実を結ばないことが大半なんだ。