初心者向け格安ギターとバンドメンバー募集のグローバルサウンド新宿
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知ると知らないとでは大きい契約

ちょっとカタイ話になるが、プロデビューをめざすミュージシャンにとって、避けては通れないのが「契約」という行事である。
君がプロの活動を開始するための約束ごとを、所属するプロダクションやレコード会社と君の間に交わす必要がある。
これによって、君は自分を守ることができるし、また、相手への責任を負うことにもなる。
さまざまな形態があるが、共通しているのは、書面でのやり取りになるということ。
つまり、どんなささいなことでも、口約束は効力がない。
信頼関係が基本だとさんざん書いているではないか、と言う声が聞こえてくるが、契約があるからこそ、そのうえに信頼関係が成立する。
単なる友人同士ではなくて、もっと深い、人生までを共にするかもしれないような人間関係を作らなくてはならないのだ。
しかも、ビジネスである。
お互いの生活を支えるためにも、きちんとした約束ごと=契約、が交わされねばならない。
その当事者である君たちミュージシャンが、この重要さを認識して、契約についての基本的な知識を持つことが、
今後の音楽生活の中で重要なことになってくるのはまちがいないだろう。
少しややこしい話になるが、とにかく大事なことなので、ここは少しガマンして読んでほしい。
プロとアマチュアの違い、のところで、契約書にサインをする前でも、
環境が整って目標がはっきりすれば、君は立派なプロアーティストである、と書いた。
レコードデビュー、つまりファーストーシングル(アルバムのときもある)が発売されるときには、
契約書に基づいて売上げからの君の収入が決められる。
だから、声をかけられてからその日までの期間が短いほうがいいと思うかもしれないが、そうとは限らない。
契約書は君の生活を左右するくらいに大事なものだから、
サインを交わす前に、契約についての知識を身につけているほうがいいに決まっている。
自分のまわりのスタッフたちの役割や考え方を少しでも理解しておくにこしたことはない。
そんな準備期間をおき、じっくりとこの業界になじんだ上で、契約書を前にしてサインすることを覚えておいてほしい。
僕のまわりには、デビューできることを急ぐあまり、やみくもに契約書を交わしてしまい、こ
れがトラブルの原因になったプロアーティストが少なくないからだ。
手順を簡単に説明すると、まず、アーティストである君は、マネジメントプロダクションと契約する。
これは、ごくシンプルな書式であることが多いが、自分がそこの所属のアーティストとして、
レコード会社との契約交渉をマネジメントに任せるという内容である。
そんなに大事なことを他人に任せることはできない、と思う人もいるだろう。
そう思う人は、マネジメントを自分でやりなさい。
きわめて少ないが、自分ですべてをこなして成功している人もいる。
まあ、いろんなキャリアを経て実績を重ねた上で、自分でやってみるのもいいだろうが、そ
れ以上に、信頼できるマネジメントに籍をおき、新しい才能が開花した人のほうが圧倒的に多いのは事実だ。
前にも言ったが、アーティストにとって、マネジメントプロダクションは実家であり、レコード会社は仕事相手である。
プロとしての活動がスタートした時点で、どこの誰が最初に君を見つけて声をかけたかということよりも、
実家であるマネジメントの役割のほうが優先されてくる。
だから僕は、アーティストとマネジメントとの信頼関係を、まず重要視する。
どんなにすばらしいアーティストがいても、横にいるマネジメントスタッフが仕事的にふさわしくないと思えれば、契約することはできない。
その逆はあっても、である。
プロダクションの規模の大小ではなくて、そのスタッフとアーティストとの相性ということだ。
とにかく、交渉を任されたマネジメントとレコード会社との間で、契約内容が協議される。
契約には、さまざまなバリエーションがあるが、次の五項目が、アーティストである君に直接の影響のあることがらになってくる。

1.契約期間
2.原盤権
3.アーティスト印税
4.援助金
5.著作権印税これらの内容をかいつまんで説明しよう。

契約期間
ワンショット契約と期間契約に分かれる。
ワンショット契約とは、一曲、または一枚だけの単発契約のことだ。
これに対して、期間を決めての契約が期間契約。通常は後者の形が多い。
期間としては、一年、二年、三年、五年などいろんなケースがあるが、僕は、二年契約を基本に考えている。
アーティストによっては、期間を設定すると同時に、発売する量、
つまりその期間中に何枚のCDを発売せねばならないかということを約束することもある。
もちろん、期間だけを決める場合もある。
信頼関係のなかで、自由な活動を保証することも契約の大きな役割だと思っているから、できれば、期間だけの約束が望ましい。
ただし、初めてのCDの発売日から、その期間が発生することに注意しておくように。
二年契約を交わすということは、デビュー作品が発売された日から起算して向こう二年間、契約が生きているということだ。
その期間が終了したあと、続行するかそのまま終了するかは、終了前の三か月以前に双方の協議で決められる。
お互いに不満がなければ、自動延長として、一年単位での継続をする。
しかし僕は、基本的に、一度白紙に戻して、二年間の再契約を交わすことを勧めるようにしている。
二年経てば、環境は変わるし、年齢も変わっている。
契約の条件を見直すのはあたりまえだし、交渉によって生じる緊張感も、お互いの仕事にいい影響をもたらすと思えるからである。
ともかく、最初の契約期間内での実績で、その後の契約を続行するかどうか考える、ということになる。
このときの実績とは、単純に売上げだけではない。
例えば、最初の契約期間が二年間だとすると、この間にどれだけの将来性が見えてくるか、ということが問題になる。
デビュー曲からいきなり売れるなんてことは、誰も期待していないだろう。
どれだけファンがついて、音楽的な評価が得られるか。
二年間に、シングルを三枚、アルバムを二枚発売したとする。
簡単にヒットすることはないだろうが、その評価は出るはずだ。
最初の二年間は先行投資だとわりきって次に期待できれば、新たな契約に更新されるが、そうでなければ契約終了。
つまり、解約になる。もちろん、将来性を見込んでスタッフがデビューを決定したのだから、
一概にアーティストの責任にするのは残酷な話だが、失敗を続けるわけにはいかない。
しかし、制作費を下げたりしながら着実に活動を続けている例もあるから、
現実をにらみながらそのアーティストにふさわしい制作を探し出していくことが、スタッフの重要な仕事となるのである。
解約はつらい…Kが三年前にデビューした当時は、
リアルな歌詞の世界と七〇年代のアメリカンロックに影響を受けた明るいメロディラインが、ファンを魅了したものだった。
デビュー曲はテレビ番組のテーマ曲に抜擢され、一気に人気アーティストへの道を走るかのように思えた。
しかしその後は、思わしい新曲もできず、最近では将来性にかげりが見えはじめていた。
担当ディレクターも交代し、スタッフとのミーティングがくり返されたが、
作られてくる新曲やKの意欲も新しい突破口を見いだす材料には乏しく、ついに契約終了が決定的となった。
協議の結果、レコード会社とマネジメントプロダクションの二社が同時に契約終了とすることになり、Kはフリーとして再出発した。
後日、当時のスタッフど連絡をとりあって話を聞くと、Kはアマチュア時代の仲間と事務所をおこし、新たな活動を再開するとのことである。
この三年間のKの活動をふり返ると、その能力を生かしきれなかったスタッフとしての後悔は残るが、
僕たちがこの世界で生き残るためには、やむをえない結論であった。




原盤権とは

CDにする音源、つまりマスターテープを作るための費用を全額負担した者が持つ権利である。
スタジオ代、エンジニアなどのスタッフのギャラ、ミュージシャンの演奏料など、
マスターテープ制作に直接関わる費用を誰が負担するかについては、レコード会社、プロダクション、音楽出版社などいろんなケースがある。
費用もピンキリだが、僕たちのやり方(48チャンネルのデジタルレコーディングで、一流と言われるスタジオ、エンジニアを使う)では、
一曲当たり百~百五十万円がノーマルな相場である。
つまり、シングル盤だと二百~三百万円、十曲入りのアルバムだと千~千五百万円。
これが原盤権を所有するために必要な費用ということになる。
原盤権を持つ者は、レコード会社との契約で一定の印税率を取り決め、
売上げに応じて印税を支払ってもらうことで、この制作費を回収していく。
印税率は10~15%。税金やジャケット制作費などの細かい控除があるのだが、
簡単に言えば、千円のシングル盤の10%は百円だから、二百万円の制作費を回収するには二万枚の売上げが必要だ。
新人のシングル盤で二万枚を売るのは非常に難しい。
活動費用やスタッフの人件費を考えると、その倍を売らないとペイしないだろう。
僕は、最初の契約期間での原盤権は、レコード会社が持つのが妥当ではないかと思っている。
社内にはスタジオもあるしエンジニアもいるから、社内原盤の制作は有利だし、
リスクを負担する義務、先行投資する義務がレコード会社にあってもいいからだ。
しかし、自宅録音やチーフ&シンプルな制作方法で、一曲卞二十万円でマスターテープを作る方がふさわしいアーティストもいる。
インディーズの知恵も広まっているから、これもアーティスト次第、音楽次第なのが実情だろう。
一般的な制作方法だと、シングルでもアルバムでも、
五万枚以上の売れ行きが見込めない場合は原盤権をレコード会社に委ねるほうがいいだろう。
レコード会社は大きな危険負担で大きな収入をめざす。つまり、ハイリスクハイリターン。
アーティストとマネジメントプロダクションは、小さな危険負担で大きな収入をめざす。
つまり、ロウリスクーハイリターン。
これが、音楽ビジネスの基本的な考え方ではないだろうか。