初心者向け格安ギターとバンドメンバー募集のグローバルサウンド新宿
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バンドメンバーを募集する バンドのライブチラシ作成 音楽コラム

テープを聴いてもらうには

僕たちの仕事で、宣伝スタッフが大きな役割を持つことは言うまでもない。
そのスタッフが、サンプルの音を音楽マスコミに配り始める前に、基本的に考えているのは、どうすればこの音を聴いてもらえるだろうか、という点につきる。
音を聴いた上で、好きだ嫌いだと始まるのが常識のように見えるが、実は、その手前が一番難しい。
シングル曲のサイズは約五分。
これが、毎月何十枚、いや何百枚も、新譜として発売されている。
プロモーションされる側にも、このすべてを聴いて判断するだけの時間はありえない。
そこで、アーティストの名前やまわりの評判から、聴く順番が決まってくるし、
何の興味もない曲は、封を切ることもないままに、デスクに積まれて忘れ去られてしまう。
僕が宣伝スタッフだったころ、新譜を山のように抱えてラジオ局を回ったものだが、
名もない新人のシングル盤が、僕の説明が終わると同時に、横のゴミ箱へ投げ捨てられたことがある。
見るとその中には、他社のレコードもいっぱい捨てられているではないか。
僕は、思わずそのディレクターに食ってかかり、
さらには友人の宣伝スタッフと結託して、それ以後その人には
いっさいのプロモーションをしなくなった、という思い出がある。
今や、こんな極端な人はいないと思うが、歌謡曲全盛の時代には、国内ロックの無名新人アーティストなどこの程度の扱われ方だったのも事実である。
今はこれだけロックが盛り上がっているが、逆にマスコミ側の選択も厳しくなっているので、
僕たちは、まず相手の指向性を考えながら、曲ごとに宣伝トークを変えていく。
特に、ロックはアーティストの個性を生かすことが重要だから、関心を持たない相手に宣伝することほどムダなことはない。
より宣伝効果を上げるには、そのアーティストにふさわしい番組やメディアを持っている人に向けて、どこまで大きく扱ってもらえるかをめざすことになる。
そこで、まず、人が関心を持って聴いてくれるような宣伝戦略を組み立てることから作業が始まる。
チラシのデザイン。写真のコンセプト。キャッチコピーの文句。
一瞬の宣伝トークと見た目のインパクトが、その差別化を決定づけるポイントになってくるんだ。
そして聴いてもらえれば、あとはその曲のパワーが生きてくる。
君たちの、デモテープの売り込みも同じような状況にあると思ってほしい。
最初のやり取りで、第一印象は決まるだろう。相手先を選ぶことも大切である。
相手が望んでいるジャンルや形のバンドであるかどうかを、探ってみよう。
どんなアーティストを扱っているレーベルであるかを、雑誌の記事や広告から推定することだ。
ヒントになるといいのだが、「辛い曲を甘く聴かせる。激しい曲を優しく聴かせる」、こんな言葉が、制作、宣伝の会議で飛びかっている。
カラフルな写真が添えてあるのに、歌詞は強烈なメッセージだったり、
カジュアルなファッションで先鋭的なダンスナンバーを歌っている、
というようなアンバランスなアーティストの方が、僕たちは興味をそそられる。
なぜ、この人がこんな曲をやっているんだろうと思わせるのも、他の人との差別化につながるんだ。
山のように売り込まれる新人の中で、どうすれば君たちが目立つだろうか。
まず、デモテープをかけてくれるだろうか。
しかも、他の人より先に。
ラジオのリクエスト番組を聴いていると、はがきにイラストを書いたり、デザインを凝らして、
自分のはがきを読んでもらうために必死の努力をしているのがよくわかる。
これと同じだ。
音を聰いてもらうための知恵をしぼってみること。
これがないと、どんなにすばらしいロックを演奏していても、誰もふり向いてはくれないし、
ゴマンといるアマチュアアーティストの中から、君たちに注目してくれることは、永遠にありえないだろう。
まあ、こんな苦労も、デビューが決まるといい思い出になってしまうものだ。
君たちの音楽に愛情を持つスタッフが集まって、毎日のように、議論をくり返しながら、
一歩一歩、実にゆっくりとしたペースでデビューに向けての制作、宣伝が始まってくる。
音楽マスコミ、ディーラーとの出会いは、必ず、君が作る音楽を刺激して、
より高い目標に向けてのプロミュージシャンが生まれるエネルギーを与えてくれるだろう。
君の音楽のすばらしさを、確実に増えつづけるファンの歓声が証明してくれるだろう。
CDの発売日にはいつも街のCDショップを回ることにしているが、どのCDも全力をつくしたアーティストの作品であることは言うまでもない。
しかし、売れる保証はどこにもない。ディーラーのカウンターにそんなCDを持ったお客さんが行列を作ったときには、いつも胸がいっぱいになってしまう。
僕たちスタッフが、いちばん感動する瞬間である。
いい音楽を、一人でも多くの人に聴いてほしい。
一人でも多くのロックミュージシャンが売れることによって、日本中をロックで占領してしまいたい。
僕が、この仕事を始めたときのこんな思いは、いつまでも、色あせることなく、新人アーティストと出会うときのスリルと同居している。